ちょっと待って!それ、本当にクレーム?(2)

そもそもクレームとは何かから、始めます。
商取引で、売買契約条項に違約があった場合、違約した相手に対して損害賠償請求を行うこと。
苦情。異議。
出典「デジタル大辞泉」(小学館)
俗に「クレーム対応」「クレームを言う」等の使い方をするのは、2の「苦情、異議」の方でしょう。
けれど苦情の前提に、言う側に1の「正当な権利の要求」という意識があることもあるのです。
(事例)
ある士業の事務所を経営しているユーザーW(男性)が、自分の不在時の電話受付を代行サービスの会社に依頼していました。
もし電話があれば、メールで内容を伝えてくれるというサービスです。
1年間使って、とても便利なサービスだったので、彼は満足して使っていました。
ところがある日のメールを見て、彼は少し不安になったのです。
「11:10
Y様あて
〇〇社〇〇様より
~~~~~の案件について、メールをくださいとのことでした。
申し伝えますと回答。」
気になったのはY様という、宛名でした。
Yという人物は、彼の事務所にはいません。
彼一人でやっている事務所だったからです。
〇〇社は彼の大事なクライアントです。
もし受付時に、「はい、Yでございますね。」と応対していたら困るなと思いました。
そこで受付代行の会社に、仔細を確認することにしました。
最初に電話に出た人に、ことの仔細を話すと
「担当者がおりませんので、おりかえしお電話します。」
といったん終わり。
30分後、実際に対応した人のリーダーらしき人から電話がありました。
いわく、
通話録音を聴いてみたが、その電話を受けた際に雑音が入って名前がはっきり聴き取れなかった。聴きとれた名前のまま、復唱した。相手もそれで何かいうわけではなかったので、無事に終了した。
まあ、こんなことをまくしたてたのだそうです。
一方的に自社側の状況説明から入ってこられたことに、彼は気分を悪くしましたが、一番気になることを聞きました。
「回線状態が悪かったり、いろいろ事情はその時々であるでしょうが、おそらくうちの事務所の代表者の僕の名前は、受け付ける方には知らせてあるんでしょう?
聴き取れなかったら、『もう一度おうかがいできますか?』とかは言わないのですか?」
そうすると、リーダーらしき男性はこう言ったそうです。
「それは別スクリプトなので、オプション料金をいただくようになります。」
リーダーさん、ちょっと残念な対応ですね。
平たく言えば、「あ~あ、やっちゃった。」という感じです。
この後、彼はなじみの営業担当に電話を替わってもらい、初めから話しなおしてようやく納得のゆく説明を受けたようです。
では、どこがまずかったのでしょうか。

 

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