カタカナ言葉を使うならTPOを考えて

 

昨日だったか、9月始業制について東京都知事が語った言葉に、

「来年にしますと、モメンタムをなくす。」

というのがありました。

小池百合子都知事にとって、モメンタムという言葉は彼女自身の語彙として、しごく当然のものなのでしょう。
けれどその言葉を聞いた時、違和感を覚えたのは、おそらく私だけではないだろうと思っていましたところ、やはり。
今日のワイドショーやら、ネットの記事等に、あまり好意的ではない扱われ方で出ていました。

要点は1つ。

「来年にしますと、勢いをなくす。」

これでは、どうしていけないのでしょうかということです。

 

ビジネスの世界でも同じようなことがあります。
よく聞く言葉を例に挙げます。

ミッション(使命)
ハンドリング(操作)
サマリー(要約、まとめ)
アジェンダ(議題)
アサイン(割り当て、任命)
アテンド(世話をする、介添えをする)
リスケ(予定を取り直す)

日本語で話せば、誰にでもわかるものを、あえて英語(しかも単語)にする。
それがある集団においての共通言語となっている場合、そうしなければコミュニケーションがとれませんから、従う必要があるでしょう。
言葉は符牒のようなもので、集団ごとにある程度の特殊性を持つと思うからです。
その集団に属する仲間であれば、共通言語を使わないわけにはいかないことでしょう。

けれども異なる共通言語を使う集団の中では、慎むべきです。
その集団に属する人々の、理解できる言葉で、語られるべきです。
言葉は自分の考えや思いを伝え、相手に理解してもらうために使うものだからです。

時々お目にかかるカタカナ言葉を乱発する人、それも相手や場所を選ばずに。
あまりかっこいいものではないと思うのです。
相手に自分の考えを理解してもらおうと思うより他の、何かしらの感情が透けて見えるような気がするからです。

「巨人の星」に学ぶ、対人処方

不要不急の外出を控え、自宅にこもることの多い毎日を過ごしております。
比較的早い夜の時間、最近はオンデマンドによる昭和の名作アニメを観ています。
「巨人の星」、おそらく40代以上の方なら、タイトルくらいは聞いたことはあるのではないでしょうか。
1968年から1979年にかけて放送されたTVアニメで、プロ野球巨人軍を目指して猛特訓に励む父と息子の、そして後半は巨人軍に入った息子の、スポーツ根性ものです。
楽しむポイントはいろいろとあるのですが、今回は対人処世術の観点から、「あ~、なるほど。」と思い当たったことについて、書いてみることにします。

 

他人が自分に対してする”嫌な言動”の意味は?

「巨人の星」第35話「魔球対剛速球」の中に、考えさせられるシーンがありました。
主人公の星飛雄馬(ほしひゅうま)は、16歳。
甲子園初出場の青雲高校の投手です。
左の本格派、剛速球投手で、幼いころから父にしごかれて、針の穴を通すコントロールと根性、野球理論を持ち合わせています。
対戦相手は、前年度優勝校の三河高校。
エースの太刀川(18歳)は、きれの良いドロップを決め球にする変化球投手です。
今風に言えば、縦におちるカーブでしょうか。
息詰まる投手戦が続き、太刀川は17奪三振です。
0対0、9回裏二死、打者は太刀川の場面でのこと。
太刀川は、バントをします。
飛雄馬は、軽快なフィールドワークで簡単に処理をします。
そこで、「?」となるのです。

「俺の投手守備が下手でないことを、太刀川は知っていたはずだ。
なのにどうして、バントをしたんだ。」

 

そこで、ひらめくのです。
17奪三振、ここまで投げてきた太刀川は、疲れている。
バントで右に左に揺さぶられては、足がついてゆかないと恐れた。
そして彼は思った。
「自分が苦しい時は、相手も苦しい。」
だから飛雄馬が嫌がるだろうバントを、彼はしたのだと。

飛雄馬は、体力温存しながら投げていたので、太刀川ほど疲れてはいませんでした。
だからそのバントを処理できたのですが、この不自然なバントで太刀川の疲れを飛雄馬は見抜くという筋です。

 

これを見て、なるほどと思いました。
いつも他人に嫌なことを言う人、たぶん嫌がるだろうことを探している人、誰の身の周りにも少なからずいることと思います。
たとえば学歴、たとえば運動神経、スポーツの成績、家庭環境、容姿、所属している会社や団体等々。
こういうことを会話の中に織り交ぜて、相手の顔色をうかがい、相手の弱いポイントを探っているような人。
この人たちのついてくるポイントは、実は本人が弱いところなのです。
自分がそれを弱みに思っているから、相手もきっとそうだろうと思うのです。
それならば、その挑発にのるのは愚の骨頂です。
自分から自分の弱みを見せてくれているのですから、
「ああ、この人はこういうことに、コンプレックスがあるのね。」
と認識して、その次の言葉を選びます。
もしぴしゃりとやりたい(やっても良い相手なら)のなら、そのように。
うけながさなければならない相手であれば、むしろにっこり笑って受け流す。

巨人の星を見て処世術を学ぼうとは思いませんでしたが、さすが昭和の名作アニメ、なかなか深いです。
外出自粛はまだまだ続きそうですから、昭和の名作を楽しむ時間はたっぷりあります。
面白い気づきがあれば、またここで報告させていただきます。

コロナストレスの解消法

今日4月7日に、緊急事態宣言が発出されました。
東京をはじめとする7都市では、明日0時から外出自粛要請がおよそ1か月続くとのこと。
1か月、1人で閉じ込もるのもストレスですが、家族がいつもべったり鼻を突き合わせるのも、それはそれでストレスです。
そこで今日は、1人の世界にどっぷり浸れるストレス解消法について書くことにします。

 

屋内で過ごす為の手段として、DVDのレンタルやオンラインデマンド動画の契約、ケーブルテレビの契約、それにオンラインゲーム、プレイステーションをはじめとするスタンドアローンのゲーム機やソフトが考えられます。

これらは映像をテレビやスクリーン、タブレット端末やスマートフォンに映して楽しむものです。
テレビやスクリーンに映す場合、家族の邪魔が入る可能性があります。
一緒に楽しめればいいのでしょうが、いつもいつも家族用の優しい顔をしていられません。
一日中一緒にいるとなれば、どうしても家族に影響されてしまいます。
テレビを観るにしても、動画を観るにしても、家族の意向を無視するわけにもいかず、いつも気を使って疲れますよね。

それから上に書いた映像を楽しむものは、すべて他人が作った映像を受け取るだけのものです。
決められた人物の姿、自然の様子、工場や建物の様子、それを見せてくれるので、簡単に楽に楽しめるというのもありますが、同時に自分で想像することをしない。
自分で想像すれば、そこがベッドの中でもトイレの中でも、平安時代、鎌倉、室町、戦国、江戸、どの時代でも、世界のどこにでもすぐに行けます。
与えられるのは文字だけ、映像は自分で想像する世界。
本は、場所も時間も選ばず、どこかの世界に連れていってくれます。
何よりも、読んでいる間は1人になれます。
どんなに周囲が騒いでいても、なんとかして少しでも静かな場所を探して、どこかの世界に思いを飛ばす。
それはとても自由で、楽しい時間です。

できれば紙に印刷されたものの方が手軽ですが、新しい本を買うにはお金がかかります。
今や文庫本でも600円、700円する時代。
そこでネットで文字を読んではいかがでしょうか?
2つのサイトをご紹介いたします。

 

あおぞら文庫

著作権が消滅した作品や著者が許諾した作品のテキストを公開しているインターネット上の電子図書館です。
ここなら学生時代に教科書で見たような作家の作品が、無料で読めます。

 

小説家になろう

株式会社ヒナプロジェクトが提供する小説投稿サイト。
アマチュアの投稿作品ですが、ここからプロの作家になることもあります。
面白いフレッシュな作品が読めます。
「あおぞら文庫」より軽く読めるので、名作の硬さが苦手な方には良いかもしれません。

 

一人きりの時間を楽しむための選択肢として、ぜひお試しください。

テレワークのストレス

 

コロナウィルスの影響で、世の中大変なことになっていますね。
2月、この騒動が始まった頃、東京オリンピックも控えていることだし、国の威信にかけて3月末か遅くとも5月には、一連の騒動をおさめることだろうと思っていました。
楽観的に過ぎた予想でした。
オリンピックは延期され、今やウィルスは全世界で猛威を奮う。
外出の自粛が要請されて、仕事でさえテレワークを推奨される昨今です。

テレワーク、職場ではない場所(主に自宅)で、職場にいるのとほぼ同じ仕事をする形態。
VPN(仮想プライベートネットワーク)技術の向上により、物理的に離れた場所にいても、インターネット回線を通じて、安全で安心なセキュリティの下、社内LAN内で作業をしているかのような環境を得ることができるようになりました。
通勤ラッシュにもまれて、遠距離をはるばると職場に出かけなくても良いということは、近年政府が訴えている「働き方改革」の1つで、これ自体はとても良いものだと思います。

けれど自宅での仕事は、良いことばかりではありません。
私的空間に仕事を持ち込むのには、けじめとでもいうべき、しきりが必要です。
家族がいる場合、これはとても大事なことです。
例えば、9:00~17:30の勤務時間中は、たまたま自宅で作業をしているだけで、職場にいるのと同じように頭と心は仕事に向かっているのだから、その間他の作業のあてにはできないはずです。
この感覚を、家族に理解してもらわないと、

「自宅にいるのに、子供の面倒をみてくれない。」
「家事を手伝ってくれない。」

不満や愚痴を聞くはめになります。
子供がいる家庭では、仕事中にはけして近づかないようにとの躾も必要になるでしょう。
共働き家庭では、もっと困るでしょう。
休校になった子供が家庭に閉じ込められれば、退屈を持て余して愚図ったり、騒いだりもするでしょうし、言いつけを守らず外出してしまうことだってあるかもしれません。
仕事に集中していれば、外出に気づかずにいることだってあるでしょう。
子供の面倒をみながら、仕事に集中する。
なかなかに難しいことです。

本当は、テレワークの家族向け啓蒙マニュアルのようなものがあって、理解を深める準備期間をおいて、Goサインが出るのが望ましかったのでしょう。
それを今回のコロナ騒動で、いきなり始めたものだから、働き手も家族も困惑している。

急に始まった感のあるテレワーク、感染拡大防止のために必要なことですから受け容れるしかありませんが、おそらく多くの人に多大なストレスを与えていることと思います。
そこでとりあえずですが、明日からできるストレス軽減策をいくつかご提案いたします。

 

1.勤務時間内は、ベッドルーム等の個室に机を持ち込んで作業する。
ドアを閉ざし、できれば子供にもわかるように張り紙をする。
「しごとちゅう。じゃましないでね。」とか。

2.勤務時間とそれ以外の時間の切り替えを明確にする。
勤務時間が終わったら、家族の相手を積極的にする。
*いつまでもは無理なので、最初だけでも。
そうすれば、メリハリの習慣がつく。

3.できれば勤務中は、いつもと同じ服装にする。
「これを着ている時は仕事中」というサインになる。

4.共働き家庭で、子供が小さい場合(小学生)、1時間に1度は5分~10分程度、様子をみる。
幼い子供は、集中力の持続時間が短いので、長時間放置しておくと、子供の退屈や不安、好奇心の集中砲火を受けて、事態の鎮静化のため、多くの時間を必要とすることに。

5.配偶者や両親が家家を切り盛りしてくれる場合、1時間に1度程度、
「ありがとう。」とか「助かるよ。」と、お礼を言う。
職場でお茶を淹れてもらった時に言うように、仕事だと思って言う。

居心地の改善に、少しは役立つと思います。
お試しください。

非常時の新入社員研修

年度が変わり、令和2年度が始まりました。
桜は満開、いつもであれば、入学式に入社式、入庁式と、人生の節目のイベントで賑やかな頃です。
けれど憎らしいコロナウィルスのせいで、中止や規模の縮小のニュースを耳にします。
ハレの日を楽しみにしていらした方々のお気持ちを思うと、仕方のないこととはいえ、残念でお気の毒です。

さて、先の見えない現状で、頑張って新入社員を採用した企業の皆様、いつもであればなさるであろう研修、新入社員研修をどうしておいででしょうか。
おそらくウィルス感染予防のため、大人数での研修は控えておられるのでは。
少人数であれば、研修室に十分な広さと換気の確保、それにマスクとアルコール消毒の徹底という慎重さをもって、実施することはできるでしょう。
けれど大人数になったり、受講者の集合に県間移動を伴う場合、事態が落ち着くのを待とうと判断なさるのではないでしょうか。
けれどどんな事態でも、新入社員は今日から仕事を始めることに変わりはなく、知っておくべきことを伝える必要性は、いつもと同じです。
今日は、当座参考資料として使っていただける本を、ご紹介することにします。
総務、人事担当の方のお役に立てれば、幸いです。

「電話応対技能検定(もしもし検定)クイックマスター 電話応対〈第2版〉」
吉川 理恵子 (著), 公益財団法人 日本電信電話ユーザ協会 (監修)

上の本は、もともと電話応対技能検定のためのテキストです。
けれども、これがまた読みやすいのです。
受験勉強を思い出してください。
初級、中級、上級と、問題集を使い分けませんでしたか?
最初から、分厚くて小難しいことを並べられたら、やる気も失せるというものです。
どんな難関校を受験するにせよ、最初は基礎から始めます。
そしてその基礎を勉強する時の問題集こそ大切で、できるだけ薄くて易しいもので、全体を流せるものが望ましい。
新入社員に必要なビジネススキルも、これと同じです。

上でご紹介した本は、まず絵が多く、1ページの文字数が少ないので、
「げ!」
と思う抵抗感が少ないのです。
本当に初歩のビジネススキルのみですが、最初はそれでよいでしょう。
そして何よりも良いと思うところは、ほとんどの新入社員にとっての難関が電話対応ですが、そこに「使える」点です。
これまで友人や肉親、それに先生くらいとしか、電話で話さなかった人たちです。
いきなりビジネスシーンの対応に、なじめるわけはありません。
研修なしで実務につくと、先輩のやり方をまねするところから始めるのでしょうが、その前にスタンダードを知っておくほうが望ましいのです。
その電話対応についての記述は、さすが電話応対技能のためのテキストで、他に比べると詳しく書いてあります。

これを一冊、手元に置いておいて、できれば通読するように。
何か不安に思う事があれば、調べてみるように。

こう指示するだけでも、ずいぶん違います。
そしてこの非常事態が落ち着いてきた時、あらためて対面の研修を受講してもらえば、予習は済んでいるのですから、毎年行う研修より効果的かもしれません。

非常時には非常時の研修を。
ぜひお試しください。