年輪の品格は素敵

先週のことです。
あまりに暑いのと、資料作成作業が続いて少し疲れ気味だったのと、言い訳をたくさんしながら、お寿司屋さんに行きました。
特上のにぎりセットを頼んでも、2500円~3000円のお寿司屋さんです。
もちろん、私が特上を頼んだりしたわけではありません。

そのお店は、こんな状況になる前から、ゆったりとした座席配置のお店で、お値段も前述したとおりなので、老若男女年齢層は幅広い。
その日、私の隣りの少し離れたテーブルには、おそらくは60代後半から70代前半かなというご夫婦がおいでになりました。
二人で仲良く料理をつまみながら、いくつか追加注文なさった後のこと、妻が席を立ちました。
一人になった夫が、お店の方に

「これを下げていただけますか。」

と穏やかな声でお願いしたのです。

あの年齢で、あんな丁寧なおしゃべりをする方が、ここ広島にもいるのねと、少し驚いて、それ以降なんとはなしに、その夫に注意がむいていました。
妻が帰ってきて、お酒が運ばれてきて、

「おめでとう!」

盃を上げて、妻がそう言うと、

「ありがとうございます。」

照れくさそうに、夫が答えます。

 

この光景に心が洗われるような気分でした。
二人とも、穏やかな声でお話しなさるのですが、とてもとても楽しそうです。
夫のお祝いに、少しだけ贅沢をしてお寿司屋さんに来たのでしょう。
ブランドの服やバッグで身を飾っているわけでもなく、ごく普通のスラックスとポロシャツのような恰好でしたが、そこはかとなく品格が漂います。

「年をとると、いろいろなことが顔に出る。
見た目も、年をとると本人の責任でもある。」

昔、年長の女性がよく言っていたことです。
それを思い出しました。

いつか私が、あのくらいの年齢になった時、あんな風に穏やかな品の良さを身につけられていたらいいと思います。
日々ありがたいと感謝しながら暮らせば、ああいう風になれるのでしょうか。
日々、できることを努力しながら暮らせば、ああなれるのかなあ。
なんにせよ、穏やかに暮らすとは、これ、究極の幸せだと思います。
本当に素敵でしたよ、あのご夫婦。