企業様からのご依頼に、「年上の部下の扱い」に関するものが、ちらほらと目立つようになりました。
企業の職位は軍隊の階級と似たようなもので、上位者からの命令はCSRに反しない限り、
「Yes,Sir!」
であるはずです。
そうでなければ、組織が円滑に動かないからです。
旧き良き時代、年功序列で昇進がかなった時代なら、一部の方々を除いて、年長の部下を持つことは珍しかったかもしれません。
けれどバブル崩壊後、採用人数を控えていた企業が、いっせいに若手の採用を始めた今となっては、20代の中間管理職も珍しくないご時世になってきています。
一方、団塊の世代の方々。
定年に達しはしたものの、いまだ引退するほどの衰えをしらず、しゃきっとしておいでの方々は、企業にとって大事な戦力に違いないのです。
そのような方々が、定年後の契約社員(嘱託社員)となって企業にお勤めになれば、年長の部下を持つ20代、30代、40代、50代ができることになります。
それ以外にも、企業に勤める方々には今や多種多様の生き方があり、皆が上を目指す生き方をしているわけではなくなっていますから、ここでもまた年長の部下が生まれる可能性があるわけです。
冒頭申し上げたとおり、企業の職位は軍隊の階級と似たようなものですから、年少の上司であっても部下たるもの命令には服従しなければなりません。
そのくらいのことは、年長の部下もわかっているはずです。
それなのにどうして、企業の要望に「年長の部下に対する対応」が入るのでしょうか。
きっと、おそらく、なんらかのぎくしゃくしたものがあるからなのでしょう。
例えば言葉遣い。
A課長(35歳)
「え~、それどういう意味?
どうしてそんなことになるの?」
B係長(50歳)
「それはこういう事情だからです。」
確かにA課長は上位者です。
彼の価値観では、「職位は絶対のもの。年齢は関係ない。」となるのでしょう。
B係長が、同じ価値観であるのなら問題はないはずです。
けれどもし、B課長の価値観に「長幼の序」が入っていたら、A課長を快くは思わないのではないでしょうか。
上位者たるA課長に公然と逆らうことはできませんが、心中では「小生意気な」と反感を募らせているかもしれません。
上の例は、「長幼の序」というありがちの価値観でしたが、その他にも多様の価値観があります。
部下を持つ場合、それぞれの年代の標準的な価値観を知ると、その人を理解しやすいかもしれません。
年長者の場合、その方々の生きてこられた時代は、過去の歴史ですから、ウィキペディアか何かで調べれば、すぐにわかります。
そうすればその時代を生きた方々の傾向も、歴史を知らないでいるよりは理解しやすいのではないでしょうか。
その価値観に賛同する必要はありませんが、否定せずまずは認めて接すれば、そうは反感をもたれないはずです。
来月、ある企業様から依頼を受けた研修では、世代ごとの簡単な歴史をおさらいしようと考えています。
まずは「知ること」が、理解の始まりだと思うからです。
企業の定年延長が話題になることの多い現在、年長の部下を好ましい戦力にしてほしいと祈りながら、資料作りに励みます!